菱田春草（ひしだ しゅんそう）──（1874〜1911）日本画家。名は三男治。長野県下伊那郡飯田町（現、飯田市）生まれ。東京美術学校卒業。在学中から画の才能を高く評価され、校長岡倉天心の注目するところであった。卒業後、東京美術学校絵画科教員となったが、東京美術学校騒動に際して、岡倉天心に殉じて辞職。日本美術院創立に携わった。没線描法（朦朧体）を試み、墨画にも新境地を開いた。網膜炎、腎臓炎などを患い、36歳でこの世を去った。作品に「黒き猫」「落葉」「寡婦と孤児」「水鏡」「菊慈竜」「王昭君」「月の出図」「賢首菩薩」「早春」「月下牧童」などがある。